世界の女性ジャズヴォーカル 2011年ベストCD
2011年はNo-ContemporaryのCDが意外と少なく選出に困りました。その代わりContemporaryなボーカルでいいものがたくさんあり、こちらも選出を迷いました。動向として2000年以降の歌手とも少し違った「2010年タイプ」と言うべき歌手達が目立ってきました。また、ハンガリー、ボスニア・ヘルツェゴビナといった、これまで入手困難だった国のCDが少しずつ入手できるようになってきました。一方でイギリスの 'Sally Doherty'などまだまだ知らない(日本では知られていない)歌手もいるものだと実感しました。
No-Contemporary Jazz Vocal
Cool Voice / Francien Van Tuinen / Red Sauce , Netherlands
Francien Van Tuinen / Cool Voice
このCDを ' No-Contemporary ' と言っていいかどうか少し疑問ですが、本来コンテンポラリーなスタイルのFrancien Van Tuinenがオランダの大先輩歌手 Rita Reysに捧げたCDです。
オランダの歌手らしい、ちょっとハスキーがかった柔らかい声でRita Reysに因んだ曲をストレートに歌っています。
It Happens Quietly / Jacqui Dankworth / Specific Jazz , UK
有名なUKのジャズ歌手Cleo Laine、John Dankworth(As)を両親に持つJacqui Dankworthの2011年のCD。2010/2に亡くなった父John Dankworthに捧げたアルバムで、父のアレンジを使っています。
そのため、これまでのJacquiのアルバムに比べコンテンポラリー色が減りスタンダード系の歌になっています。歌そのものも驚くほど母Cleo laineに似ています。スタンダードジャズ好きにはたいへんうれしい1枚です。
No-Contemporary Vocal その他のお薦めCDs
The Maestro(s) / Christelle Pereira / Dzess Music / 2011 , France
With A Song In My Heart / Francesca Ajmar / bFlat , Italy
Contemporary Jazz Vocals
Embrace / Kozma Orsi / Magneoton , Hungary
Kozma Orsi / Embrace
昨年前作 ' Hide & Seek 'を第2位にあげたKozma Orsiの新作。ハンガリーの通販サイトから取り寄せましたが、その甲斐があった一枚です。これがジャズかと言われるかもしれませんが、ポップス・アラウンドジャズとしてセンスの良いレベルの高い音楽に仕立てています。まさに2010年代型歌手。
Poesiealbum / Olivia Trummer / Neu Klang , Germany
Olivia Trummer / Poesiealbum
ドイツのピアノ弾き語り歌手Oliver Trummerの第4作。全曲自作でドイツ語で歌っています。現代的でおしゃれだった前作に比べるとドイツの伝統的音楽の要素が強く、少しノスタルジックでフォーキーな感じです。この歌手も2010年代型ですね。
Letters To Herbie / Viktoria Tolstoy / Act , Germany
タイトル曲の ' Letters To Herbie ' , ' Naima ' , ' Come On,Come Over 'の3曲を除いた全曲がHerbie Hancockの曲というHerbie Hancockに捧げたCD。フォービートで歌う曲がなくジャズボーカルとしてはちょっと不満がありますが、歌のうまさは相変わらず。伴奏のJacob Karlzonの好演も聴き所です。
Back 2 The Source / Eva Cortés / Universal , Spain